イチオシレビュー一覧

人はきっとみんな、心の中に小さな闇の種を持って生まれてくるのだと思う。

孤独を糧に成長する闇を抱えて。
その大きさに押しつぶされそうになりながら。
その深さに飲まれてしまいそうになりながら。

それでも。
人はその闇と戦いながら、時には和解をしながら生きている。


もう少しだけ生きてみよう。
闇の中には、美しい星だって輝くのだから――。

そう思わせてくれる繊細で清冽な物語です。

生きている意味が、分からなかった。にせよ、死ぬまで生きていくしかない。にせよ、早く、人生が終わりますように。にせよ、その心の揺れの微かな繋がりは、ほんの微かなものであるために、他人にはどうにもしかとは掴みづらいのです。
しかし、そういうものだと思います。私には深夜にこうして彷徨った経験はないけれども、かつてそういうことをしていたんじゃないかという気がしました。
透き通る、冬の夜の彷徨。
その心のいずれ辿り着く先を見たいですね。或いはだからこそ、「生きる」とタグがあるのでしょうか。