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こんな風に命を燃やせたら

定年退職した火の精は、寿命が尽きる前に、今までしてみたかったことをやろうと思った。
周りの火の精達の反対を無視し、憧れていた美しい雪国へと向かうが……


幻想的な世界観の中に在るリアリティが、大変印象的なこちらの作品。
真っ直ぐで瑞々しい言葉の一つ一つが、胸を心地好く揺さぶります。

こんな風に命を燃やせたら……

清々しいラストは、読者様を溢れんばかりの多幸感に包み込んでくれることでしょう。


儚くも眩しい火の精と共に、ぜひ『夢』や『憧れ』に触れてみてください。

不思議な憧れの光景

皆さんはどんなものに憧れますか?

自分にはないものをもっている人?
自分とは正反対の性質のもの?

火の精は、雪国に憧れます。
そして憧れの地は、聞いていた通りに綺麗なものでした。
雪玉を作って投げ、雪だるまを作り、動物に触れることなどできなかった火の精が雪兎を撫でて遊びます。

火の精は寿命が近く、死ぬ前に自分とは正反対のものに触れてみたかったのです。

そして、消えゆく間際、彼女(彼?)は幸福に包まれます。

とても幻想的で、不思議な光景として『憧れ』を描いたこの作品。
読後感が後を引きます。
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