イチオシレビュー一覧

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許可をいただいたので書かせてもらいます。

 この店は“当たり”だと思った。
 最初に読んだのはカボチャのスープ。
 それからちょくちょくと通いだした。

 疲れて帰るだけの横町で見付けた品の良い小料理屋。
 この人の描く文章には、そんな風情がある。

 この人の描く料理文法では、ものを食べるという在り来たりの描写よりも、作る過程がまず美味い。

 むしゃむしゃ。ねっとり。うっとり。ぱくぱく。もぐもぐ。
 なあんてメニューはない。
 自分で食べて、私たちにも「ちょっと摘まんでごらん」と言ってくれる。
 最後は決まって「いただきます」だ。
 
 音もないのに、店の奥からトントントンと、包丁がまな板の上を奔る音が聴こえてくる。

 もう一軒だけ寄って帰ろうよ。
 そうすると、くぐる暖簾は決まっている。

 甘音ぴんくさんのお店に決まってる。
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