イチオシレビュー一覧

誰でも嫌味なく受け入れられるクマのぬいぐるみと、陶器の人形の会話に、ごくごく自然で伸びやかな生命を吹き込んだ作者は凄いと思った。

買ったばかりの時は、大事に大事に扱っているつもりでも、年月が経つごとに、ないがしろにしてしまいがちな存在……それが人形であり、ぬいぐるみ。

わたしも、クマの立場なら、踊りたくなるなあ。

そんな風にサラッと感情を持って行く技術を、高校生の頃から発揮していた作者は、やっぱり凄い。

良質の短編を拝見すると、図々しく「続きが読みたいけどムリかな……」なんて思ってしまうのは読み手の勝手。
だけど、やっぱり、この作品には言わずにはいられない。
「宴の後の続きも読んでみたいな」と。

そう感じさせる作品は、ありそうでいて無い。そんな稀有な存在だから。