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芸能界の闇は不快で深い

 お笑いの大御所松薔薇太志の自殺によって、芸能界が騒がしくなった。その闇にお笑いと監督を務める伊達賢治が挑む。

 しかし、闇は簡単に晴れることはない。下手に首を突っ込めば自分自身が飲み込まれるからだ。作中で謎が解けることはない。

 芸能人が一人死んでも、世間は何も変わらない。伊達だけがお笑い以外にも監督業を務めたりと、せわしなく動いている。

 芸能界を動かすのは生きている人間だ。伊達は決して止まらず、漫才王になろうGPやドラマの撮影に全力を注ぐのだった。

メディアの裏側を覗くと

カメラが映すのは映せるものだけ。きらびやかで楽しげなテレビの向こうの景色は、もしかするの醜くおぞましいよのかもしれない。いや、きっとそうだ。時々、その醜くさはスキャンダルという形で世間に漏れ出るのは何度も見てきた。

今作で書かれるのも、そんな芸能界の裏の世界だ。

実在する人物や事件をモデルにしていて、かなりギリギリの所もありながらも、醜い権力争いのやり取りが書かれる。そんな芸能界に生きる人たちの姿にもスポットライトが当てられる。
シェアワールド的な世界を作ろうとしている作者の他の企画の要素も絡まっているのが面白いところか。

本当に、芸能界は恐ろしい世界で、そこで生き抜くのは簡単じゃない。でも、読後感はそこまで後味悪くないのは興味深いものだった。
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