イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

この作者には触れたほうがいい

  • 投稿者: XI   [2024年 03月 28日 11時 59分]
主人公の男性・北町の勤め先に柴崎若葉なる女性が派遣されてくる。柴崎は物静かな人だ。誰とつるむでもなく、毎日の昼休みも一人で社食、そして、決まって蕎麦を食べる。そんな姿を見て、北町は柴崎に興味を抱く。社食を出ていく彼女の背を目で追うようにすらなった。はてさてそんな二人の着地点やいかに――といったストーリーだ。
未来屋先生はコンパクトなテーマに肉付けし、一本背筋を通らせた上で、ディテールを調整する術にとても長けている。物語の基礎、建付がしっかりしていて、余計な脂肪は削られているから、一つ一つの文章を過不足なく受け容れることができる。
「未来屋作品」には本当に無駄がない。なかなかできることではないのだ。書いているうちに描写をサボりたくなることもあるし、反対に描きすぎてしまう箇所だって出てくる。大切なのはバランスだ。その感覚に秀でている以上、未来屋先生は未来屋先生として世に存在しつづけるだろう。
↑ページトップへ