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毒劇、危険物、元素。それらを擬人化した、新感覚SFブロマンス

寄生菌『珊瑚』がもたらす『珊瑚症』に世界は蝕まれていた。世界観を表す筆力は物語への期待感を一気に高めてくれる。
バイオハザードが起こった世界。しかし、人間も無抵抗に淘汰される訳ではない。それに対抗すべく体に毒素を有する、有毒人種『ウミヘビ』による感染抑制。そんな彼らと医師モーズが珊瑚症を討究する過程、時に衝突する思想と宗教。それは現実にも起こり得そうなリアリティとSFの融合が巧みに表現されていて、読み手の好奇心を刺激します。

科学的理論思考が命を左右する世界でウミヘビとモーズが織り成す、非科学的な感情のぶつかり合いの末に新たな境地を切り開く。それだけでも、興味を惹かれませんか?

さらに特徴と言えるのは有毒人種ウミヘビは、毒劇や元素をモチーフにしたキャラクターという点。
医療、化学、SF、思想対立、ブロマンス。様々な要素が盛り込まれたこちらの作品は、きっと読了後に満足すること間違いなし

黙ってこれを読めと差し出せる作品!

  • 投稿者: 神崎 ライ   [2024年 08月 12日 22時 22分]
文句なしに何を読んでいいか聞かれたら自信をもって言える!
「黙ってこれを読め!」
それだけのパワーと魅力を秘めた一作!

物語は西暦2320年のヨーロッパのとある小国で始まる。
界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。
進行が進むにつれて異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こしていた。

そんな中、医師モーズは前々から強い関心を抱いていた珊瑚症研究に特化した組織『オフィウクス・ラボ』の入所試験をクリアーする……

とにかく理系、化学分野が好きな方は間違いなく刺さる!
それだけでなくとも男性同士の友情・絆の物語が好きな方は文句なしにハマるでしょう!

早く本編が読んでみたくなったそこのあなた!
さあ、一緒に物語の世界へ旅立ちませんか?

毒物劇物、危険物! SFブロマンスは化学反応!

毒物。

この二文字に惹かれた人は、このレビューを読まずにすぐさま本文へ向かってください。

──この物語は非常に危険です。
これは読む方によっては毒にも薬にもなる、化学のお話。

医師を務める男性モーズを主人公として始まる本編は、現実とファンタジーが交錯している。
右へ行けば簡単ながらも科学的な用語が、左へ行けばSFチックな空想の単語。

二つの道が化学反応を起こして綴られる本文は、文句なしの読みやすさ。
特にブロマンス──男性同士の友情・絆の物語が好きな方は、化学を置いて読んでみても面白さが充分にあります。

SF、化学、バトル、ブロマンス。
バイオハザードに満ちたローファンタジー「毒素擬人化小説《ウミヘビのスープ》」は、勉強にもなる一作です!

毒の擬人化という新しい可能性がここにはある。

  • 投稿者: 玲 枌九郎   [2024年 06月 15日 01時 35分]
乱暴に言うならばこの作品は異色だ。
架空の世界と実世界の科学の交錯。

ジャンルは当然「パニック」なのだろうがそのジャンルでは括ってはいけない。

明らかに一線を画すのは作者様の圧倒的なリアル感の追求。当然フィクションの物語なので架空の団体、架空の設定は確かにある。しかしこじつけに感じさせない圧倒的とも言える表現。

さらに「毒に対する向き合い方」と「毒に対する知識量の豊富さ」。そこに登場人物のキャラクターと感情表現が重なる。

キャラクターも多彩だ。
キャラクター名に毒のネーミング。わかりやすさで読者が混乱しやすい表現を最小限に抑えている。

間違いなく重厚な長編物語。

好みは分かれるかもしれない。
当然だ。

だがしかし面白い。読み込めば読み込むほどに。
そして読めば気付く。

この壮大な物語を破綻なく読ませる作者様の力量。

間違いなく面白い。是非ご一読を。
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