イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

近松門左衛門の次であった浄瑠璃作者・紀海音

 皆様は浄瑠璃作者である紀海音という方をご存知でしょうか?
 実を言うと私は存じ上げておりませんでした。
 この作品は史実に基づいた歴史小説でございまして、浄瑠璃作者と言えばこの人と言うのではないかと思うほど有名な近松門左衛門とは、本当のライバル関係にあったようです。
 ここでは、近松門左衛門が浄瑠璃作者としてはトップであり、そしてその2番目が紀海音とのこと。
 2番目でも本当に凄いことではありますが、やはり上がいるという立場ですと、歯がゆくて悔しい気持ちで埋め尽くされてしまうのでしょう。
 そんなトップである近松門左衛門に勝とうとして頑張った紀海音でしたが、ある日突如悲しい出来事が訪れてしまいます。
 そんな時に彼が思ったことは一体何だったのか?
 歴史がよく分かり、そして1位と2位の違いもよく分かる一石二鳥の作品です。
 心の奥まで沁み渡る素敵な物語を是非自身の目でご堪能ください。

同時代にその分野の天才がいた。残念なことではあります。しかし、その天才が自分より先に逝ってしまった時、残された主人公の思いは?

  • 投稿者: 水渕成分   [2024年 06月 12日 05時 13分]
3556字でジャンルは歴史です。

舞台は江戸時代前期から中期の大坂。主人公は紀海音(きのかいおん)。浄瑠璃作者。

この舞台で浄瑠璃がテーマとなると歴史や文学に関心がある方なら近松門左衛門を思い浮かべる方も多いかと思います。

そう、紀海音は近松門左衛門と同時代に活動した浄瑠璃作者なのです。

しかし、彼の名は明らかに近松門左衛門と比べると無名です。彼は浄瑠璃が盛んな時代にあっても二番目。ただ、彼は近松門左衛門より十歳ほど若い。そして、近松が死んだ時、彼は……

同時代にその分野の天才がいた。残念なことではあります。しかし、その天才が自分より先に逝ってしまった時、残された主人公の思いは?
↑ページトップへ