イチオシレビュー一覧

初めまして、Xから来ましたはづきです。
拝読させていただきました！

カジキやトビウオになりたい……という夢を描いていた主人公がこれまで自由に過ごせたわけではなく、結婚も政略結婚になろうかという、何一つ文句が言えない環境下……

でもそんな暮らしから抜け出して、夢を一つ叶えた途端、主人公に明るさが戻ってきたといいますか、こんな子だったんだなと思えるようなお話だったのでは、と思います。

この話、詰まる所家庭問題です。
主人公は実家のことを監獄扱いしてました。
そりゃそうでしょう、破壊したいと言う思いが湧くのも当然かと。大切な娘として扱うことなく道具としてしか見ない、このことに子供はどれだけ傷付くか…。
独身者の言うことかと言われれば返す言葉もないかもしれませんが、これは親の問題です。親がもっと大切に愛してやればここまで堕ちることはなかったでしょう。

世界観の共有の仕方が透き通っていてとても儚げのある一作でした。この作品を読んで思ったのが夏目漱石の無十夜の印象を受けた感触でした。人は誰しも鳥籠の中にいるんですがそれを、そんな物を壊して解放させ、自身の世界をさらけ出すこの行為に畏敬の念すら覚えます。色々言いすぎてなんかすごい文になっていますがこれからも活躍を期待しています！！！