イチオシレビュー一覧

世界観の提示が巧みで、文明が失われた後の閉塞感と、勇者という存在の“特別でありながら孤独”な立場が静かに、けれど確実に読者の胸を打ちます。

ベルの恐怖や葛藤がリアルで、彼の目線を通してリチャードの異質さ・強さ・そして不気味さすら感じ取れるのが秀逸。

それでいてリチャードの「助けてほしいと、言われたから」という一言がすべてを象徴していて、無感情なようで実は彼こそ“理想の勇者”であるという皮肉が美しい。

“勇者とはなにか”という問いを、剣戟ではなく、静かな佇まいで語らせる筆力に脱帽です。

本作品を読み始めて最初に突き付けられたのは、魔王戦だった。
しかしよくよく読み進めてみて分かったのは、それは『魔王種』なる存在。
それだけでも驚きだったがその発想に関心した。
成る程そういう表現もあるのかと。
そして更なる勇者とは何ぞやたる存在。
章ごとに新キャラが登場するのだが、それによって謎が生まれる。
そうして謎が謎を生むのだが、だからこそ読み進めるのがワクワクする！
『勇者』とは、『神秘』とは、そこから発生する謎とは⁉
興味を覚えた諸君よ、この物語に飛び込んでみてはいかがだろうか‼