イチオシレビュー一覧

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とても美しくて切ない、男女と魔女のお話

魔女の薬を求める女性。何故薬を求めるのか、問われた言葉に彼女が語ったこととは……。

たった2話の中にぎゅっと詰め込まれていて、濃密な読書体験ができます。

彼女の思い、彼の思い、それぞれに向き合った上で魔女は一つの決断をします。

2話目で大きく話が動き、いろいろと驚かされながらラストへと向かっていきます。

とてもおすすめの恋の、いや愛のお話。

素晴らしく美しい、夢物語のようで。繊細さを緻密に織り上げた憧話。

  • 投稿者: 珠貴   [2024年 09月 12日 10時 57分]
御伽噺の正道。悲恋の王道。そう、「ありふれた話」。
徹底的に無駄を省き、選び抜かれた珠玉の言葉たちで紡がれる、哀しく儚くも美しい、そして強い祈りと心。

あの糸がこのような見事な絵を描き出すのか。
意図的な断章が織り込まれたとき、奇しくも魔女と同じ言葉を読者は呟くでしょう。

その先の物語は誰も知らない。
けれど、知らないほうが幸せなこともある。美しい、とても美しい童話のような、「そして幸せに暮らしました」であって欲しい、物語。

たったの二話。秀逸な構成に息を呑む異世界恋愛。

『忘却薬』が欲しいと、魔女の元を訪れたとある女。
魔女に促され、その哀しい理由を語り出すが……


仄暗い世界観の中、おとぎ話のような語り口で始まる物語。
一話目は繊細な心理描写に心を揺さぶられ、二話目ではあっと驚く仕掛けに頭を揺さぶられます。
仄暗い世界にどんどん光が差していくような……そんな構成に息を呑むことでしょう。
また、純文学の味わいを感じる、濃厚で美しい文章にも魅了されます。


異世界恋愛が苦手な方、異世界恋愛は好きだけど流行りモノには飽きてしまった。
そんな方にも、間違いなくお楽しみいただける作品です。

一寸先を読めますか?

  • 投稿者: 真珠姫   [2024年 09月 07日 12時 00分]
読もうと決めて開いた目次の符丁のようなタイトルに目を奪われる。
読み進めるうちに頁タイトルの謎がだんだん解けていく。

前半部分の切なさ。女主人公と記憶を失った男のうたかたの恋の日々はやがて終わりを告げる。
打って変わって後半部分のどんでん返しの連続に翻弄されてしまう。

二万字に満たない字数でありながら後日談もこれ以上の詳細も不要な完成度の高さに圧倒される。。
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