イチオシレビュー一覧

軍隊とは―兵站という鎖に繋がれた―犬のようなものであり、逆説的には兵站という鎖に繋がっていない犬は、軍隊とは言えないことになります。
国家の意思の伝達は兵站という鎖が延長神経として機能することで成され、またその逆のフィードバックにおいてもそうでしょう。或いは其れは監視網でもあり、相互の規律と暴走を監視する安全装置としての機能をも求められる。もし兵站が安全装置として機能し得ず、国家・軍隊の暴走を静観するのならば、それは双方の悲劇的かつ破滅的なすれ違いを誘発しかねません。
この物語の語り部たる兵站将校レフノールは、鎖として、また神経として、監視者としての責務を十分に計る意思を持つ一つの環であり、糸であり、安全機構としての役割を授けられたキャラクターであり、戦場の霧に翻弄されながらも千切れぬように藻掻く苦労人。木に人と書いて休ならば、犬も歩けば棒にも当たって休める時も何時か来るでしょう。