イチオシレビュー一覧

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大将、いつものヤツで

 タイトル通り、この短編の主役は不死鳥。

 この鳥さん、自分の肉を削ぎ落として(なお、すぐに再生する模様)それを焼いて食べる、共食いならぬ自食いが趣味と言う、神秘性もへったくれもない不死鳥です。

 そんなある日、一人の少年が人里離れた不死鳥の元へ迷い込み、自分の肉を使った焼き鳥を振る舞ったことをきっかけに、不思議な交流が始まります。

 やがて少年は青年になって、青年は大人になって家庭を持ち、年老いて孫が出来ても、その時の節目に不死鳥の元に訪れては、焼き鳥を片手に語らう。

 そして、あの日出会った少年は天寿を全うして世を去りますが、その孫が不死鳥の元へ訪れて……

 ――明日の晩は焼き鳥屋さんで塩焼き鳥を食べながら、昔を思い出したくなる一作です。
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