イチオシレビュー一覧

読み応えがありましたね。
時代にとらわれない作風というか、ウェルテルが流行っていた頃のドイツでも人気が出たのでは？（笑）と思いました。
魔法って単語もチラッと出てきますが、中世の歴史上であった話と言われても違和感の無い作品でした。
奥さんの話によって旦那のキャラクターが浮き彫りになってくるという、良い意味で小説家になろうらしからぬ作風ですね。

突然の夫の死。それを夫人のモノローグだけで直接の悲しみは描かないまま淡々と状況を伝える。
だからこそ余計に悲しみ、戸惑い、不安が伝わってくる。
そして初めて知る周りからの夫の話
そこから沸き起こる気持ちの変化も夫人のモノローグに徹し直接の感情を描かないまま読者に感じさせる演出が見事に感じられる。

作者はモノローグ中心で淡々とだが濃密な話が多い作風に思います。これがこの作品と非常に相性が良く感じました。
個人的な願望ですがこれが中長編の一節でハッピーエンドにつながってくれたらなあと思いました、年を取ると悲しい終わりが辛くってしまったので。
(魔法とか神様とかある世界ならどうとでもなるはず(汗)

戦死した夫の死について淡々と夫人の立場から語ります。
仲は悪くなかった夫。
その本当の人となりに触れるのは、死体が戻って来てからでした。
のんびりしていて、パッとしないと思っていた夫がどんな風に周りから思われていたのか。
少しずつ判明していくたびに、読者の胸にも失った悲しみや死者を悼む気持ちが徐々に迫ってくる様です。
お話のラストは特に切ないです。
しかしきっと優しい気持ちになれるはずです。
短編で読むのにそんなにお時間は掛かりません。是非ともご一読ください。

このお話は、悲しいですが、それだけではないです。
当初は、一体旦那さん本性は？　一体何をしたんだ……！？　という疑念抱きながら読んでいましたが、あまりにも素敵なお話に涙が溢れるほどです。
正直レビューを書いていますが、内容についてはあまり書きたくありません。私のレビューを読まずに、皆さんには読んでいただきたい。特に優しいお話に触れたい方、ちょっと疲れている方、忙しい合間に読みたい方。そうじゃな方々にも、温かな飲み物を持って、気軽に読んでいただきたいと思います。