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風の街と海の谷を越え、流れる車窓に映る美しい景色と作家の想いが、心に響く作品です

  • 投稿者: 逢乃 雫   [2025年 04月 11日 02時 01分]
長い長い汽車の旅を終えて、風の街と海の谷を越えると、そこには、大きな湖の広がる街。

印象的な冒頭から始まる本作の主人公は、ある一人の作家。仕事の合間をぬって休暇をとり、向かったのは、豊かな自然に囲まれた、湖の街です。

鳥のさえずりに耳を澄ませながら、路面電車とケーブルカーを乗り継ぎ、千年の時を想わせる神秘的な鳥居をくぐり、湖のほとりに吹く風を感じて。

そこで出逢った、一人の少女が手にしていたものは……。

日常を離れてたどり着いた、風景とそこにある音。
ふとふりかえる、これまでのこと。そして、知らずにいた温もり。

この街に、あったもの。
この街で、気づいたこと。

流れるように描写されていく美しい景色と、それを見つめる作家の想いが、心に響く一作です。ぜひ、ご一読ください。
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