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このまま書籍化されていても不思議はない程おもしろい一作

  • 投稿者: 牧嶋 駿   [2025年 05月 22日 23時 24分]
可愛らしい、柔らかな文体が導入の衝撃を不思議なほど和らげ、詩的かつ幻想的な雰囲気へ導いてくれました。
また終始この文章のリズムが崩れることなく安定しているので非常に読みやすかったです。

物語上の秘密を話のなかで自然に明かしているだけでなく、読者に知らせるべきタイミングで行うことでそれらが最大限の効果を発揮し、読者を離さない工夫がされていました。
自分が好きなものを小説にするとき、どうしても自分の妄想をそのまま文章にしてしまう傾向にあると思いますが、本作はきちんと読者目線に立っているのが読んでいて伝わりました。

自嘲気味な主人公と、胡散臭いけど信用できる雰囲気のある沖田総司のコンビとしてのバランスが良かったです。
また、キャラクターが物語の都合で動かされたり喋らされたりしておらず、自分の意思で動き、自分の言葉で喋っているのが好印象でした。
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