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読後感がとにかく優しく、温かい

  • 投稿者: 百鬼清風   [2025年 05月 04日 12時 22分]
読後感がとにかく優しく、温かい。
真面目すぎて「面白くない」と言われ続けてきた令嬢ノイユと、理想主義的な詩人肌の御曹司ロマン。正反対のふたりが少しずつ歩み寄り、互いの価値を見出していく過程がとても丁寧で好感が持てました。

特に印象的だったのは、詩集を通じて世界が広がる描写。ノイユの素直な感性とロマンの繊細さが自然と噛み合っていく展開には、淡い恋が育つ瞬間の美しさがありました。

結末での「真面目ではなく、誠実な人」というロマンの言葉には、物語全体の主題が凝縮されていて、思わず胸が熱くなります。赤い薔薇の花束とタキシードでの再会というベタな展開も、この物語の抒情的な世界観なら納得できる甘さで、「糖度高めだけど気品がある」理想的なロマンスでした。
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