イチオシレビュー一覧

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この作品はまさしく、カレーライスである

カレーライスに惹かれる理由はなんだろう、と考えることがある。肉やジャガイモという大多数の男が好きな食材が使われているからか。いや、実のところ細かく味を決定しているのは野菜の切り方だ。カレー粉が同じでも人によって味が違うのは、家庭で料理をする人間ならわかるだろう。

つまりカレーライスはルウの選び方から調理法、野菜や肉の切り方などその人の個性が最も表れる料理と言えるだろう。

主人公は、ヒロインのカレーライスという胃袋を侵略する兵器に負けてしまった人間だ。哀れにもその味に惚れ、ついにはヒロインにまで惚れてしまう。当然だ、カレーライスはヒロインの個性が表れたものなのだから。

残酷な現実がありながら、主人公は戦う。彼女と思い出とカレーライスを忘れられないから。散りばめられた伏線は見事の一言。

これは主人公の紡ぐ、甘くも辛い、しかし癖になる料理だ。この作品はぜひ一食するべきものである。
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