イチオシレビュー一覧

神宿る瀧の水、それは万病を治す薬でもあり、国と村を狂わせる毒でも御座いました。

薬師リネは万病を治す薬を唯一作ることのできる、神聖な滝に認められた少女でした。ある日のことで御座います、リネはカダルという青年が連れてきた捨てられた子を治療します。捨てられた理由は至極単純、『忌み子』だったためです。カダルは若さ故か、そんな理由は知りません。しかしリネは知っておりました、同じ『忌み子』として…。リネに知らされ 青年カルダはとある決意を宿します。その時リネに渡された『薬』はやがて大きな毒となり始め…


いろんな意味で三角関係が光り、時に妖しく輝く陰謀系恋愛小説です！こちらのとても面白いファンタジー小説、是非御一読下さいませ！

しっかりと作りこまれた世界観、巧みな状況描写と心理描写が秀逸な作品です。

何よりも登場するキャラクター達の恋愛事情がとにかく複雑で、ドキドキしてしまいます。

健気で愛らしいヒロインと、明るくて好感度の高い男性キャラ、かつ腹の黒い（失礼）魅惑の男性キャラが繰り広げる三角関係……の行く末が大変気になります。

それぞれ自国の事情に振り回されつつも、一生懸命に生きているキャラクター達の活躍を今後も期待しています。

貿易で栄える国、ゴッドラム。毒サソリに悩まされる砂漠の国、ヤーウェ。両国は文化の違いから付かず離れず、微妙なパワーバランスの中にあった。

両国の間には「神の山」と呼ばれる高い山脈が走っており、自然豊かなこの地には様々な薬草が自生している。

この地にはゴッドラム、ヤーウェ、両国から追われて来た人々が集落を作り、両国にとっての「緩衝地帯」となっていた。

そこに暮らす美しき薬師の女性リネは、彼女だけが作れる万能薬のために、やがて両国の紛争に巻き込まれていく。

毒サソリに悩まされる砂漠の国の、実直で純粋な王子、カダルと気が会いながら、貿易の国ゴッドラムの、残虐な皇太子アリウスと心通わせてしまう薬師の女性リネ。

非常に緻密な筆致で、設定や世界観が練られており、引き込まれる大人の物語です。ファンタジージャンルにありがちなご都合主義にならない点が見事。続きが早く読みたいヽ(；▽；)ノ☆彡