イチオシレビュー一覧

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神はタイトルに宿る

 人間は外見が八割だという。表情や立ち居振舞い、身だしなみにこそ内面があらわれるという意味である。

 これは小説にもあてはまる。傑作は、タイトルからしてすでに傑作であり、表紙だけで人をひきつける力をもっている。

 この作品の場合は、どうだろう。

 あのあの先生、ちがうんです。

 もしこれが『あの、先生、ちがうんです。』だったり『あの~先生、ちがうんです。』だったりしたら、筆者は本文に目を通さなかっただろう。
 タイトルを見ただけで、中学生か高校生くらいの女の子が必死になにかしら言い訳をしている情景が目にうかぶ。
 なんといっても、語感がよい。思わず口ずさんでしまいそうになるほどのテンポは、もはや自由律俳句としても評価されてしかるべき完成度をほこっている。

 その昔、学校に遅刻した際に「自転車に乗り遅れまして」と言い訳してぶん殴られた筆者としては、彼女を応援せずにはいられない。
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