イチオシレビュー一覧

ファンタジーですが舞台は大自然。狩りを生業とする者たちの生き様が描かれています。
あまり想像の及ばない世界かと思うでしょうが、この作品を読むといつの間にか深い森の匂いを感じ、風の音が聴こえてきます。主人公たちと一緒になって森の中を走り回っているような錯覚に陥ります。そして、走り回ったあとの食事のなんとおいしそうなこと！すべての描写がリアルな感覚を呼び起こしてくれる不思議な作品です。
そんなワイルドな世界を生き抜くのは男ばかりではない。主人公はまだ１５歳の女の子。しかし女だからといって、いや女だからこそ厳しい掟の中で必死に生き抜かなくてはならない。試練に耐えながら、まっすぐに生きようとする健気な彼女はやがて心強い仲間と出会い……。

自然の中で生きることの厳しさ、原始的な社会で起こる人間同士の摩擦などが巧みに描かれた作品です。この作品に続く王の空シリーズもおススメです。

　掟は絶対。狩人たちが生き馬の目を抜くように必死な社会。

　若い狩人の女性ミアイは、不仲の組を抜けるべく最後の狩りに出る。
　しかし、彼女の必死の狩りは最悪の結末に――。

　真剣で朴訥な狩人たちの厳しい社会と、その中にもほっとさせてくれる人間の温かさ。
　読みやすくも落ち着いたタッチで描かれていく、狩人たちのリアルな日常と心理は素晴らしい出来栄えです。

　この作品を読み終わった頃には、あなたの中に必ずや「実はこの作者マタギだろ、半分くらいは経験談だろ」という疑念が育っていることでしょうｗ