イチオシレビュー一覧

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豪華なフルコースのような、大河ファンタジー

広大な砂漠を支配するオドナス王国。月の神に守られ、豊かな湖を抱くその国に、銀色の瞳の楽師がやって来た。謎の美しい楽師と、王宮の人々が繰りひろげる、大河ファンタジー。

『水面の月を抱く国』、『幕間劇「追想」』、そして本作『微睡む流砂の遺産』と続くシリーズです。
全編、続けて読ませて頂きました。
少年と少女の成長と恋愛、王朝の愛憎劇、王位継承に纏わるお家騒動、人質と被支配民族の反乱、戦争、遠未来SFに繋がるオーバーテクノロジー、擬生命体……美味しい要素がたくさん詰め込まれたお話で、まるで豪華なフルコースを頂いている気分でした。
登場人物ひとりひとりが個性的で、飽きません。細部までつくりこまれた世界設定も魅力です。

砂漠を舞台にしたファンタジー、王朝恋愛ものがお好きな方に、お薦めします。

月から堕ちた天使が見つめた王国の一時代

ページをめくる手が止まらなくなる、読み終えたあとに、じっくりと余韻に浸れる……そんな小説を読みたいのなら、こちらをお勧めいたします。

前作「水面の月を抱く国」から大きく引かれている伏線、読者を飽きさせないように練られた展開、数ページであっという間にオドナス王国に引き込まれてしまいます。
キャラクターたちの生の命の物語がこれでもか、これでもかと押し寄せ、スタートからエンディングまで圧巻の筆力で押し流されてしまうでしょう。

話の展開もさることながら、息遣いまで聞こえてきそうなキャラクターのリアルな内面にもいつの間にか巻き込まれていきます。
綺麗事では為しえない夢、誰かに固執してやまない欲望……そんな彼らに感じるのは、捨てがたい愛おしさ。
天使の目線で彼らの物語を見つめてみませんか。
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