イチオシレビュー一覧

豪華絢爛な衣装や、貴族の贅沢な暮らしが思い起こさせられる平安時代。
そこには光と影のように、地を這い、必死に生きた人々の暮らしがあった。

艶やかな容姿と垂らし髪という、美しい双子の田楽師は、まさにその象徴。
美しい身なりや舞いとは裏腹に、彼らの身分は底辺にあり、それでも彼らは逞しく生きている。

そこに今で言うところの警察官『検非違使（けびいし）』と、つかみ所のない青年陰陽師が加わり、世を騒がず難事件を紐解いていく。
事件解決のため、性別を問わず自在にヘンゲする双子の姿も見所のひとつです。

浄瑠璃を聞いているような語り部に、冒頭から当時の情景に惹き込まれます。

どうぞ、平安の世の推理絵巻きの世界へ……。

都の警察・検非遺使の美青年と美しき双子の田楽師。
妖艶で博学なはずなのに、どこかとぼけた厚かましい貧乏陰陽師。

彼らが出会う事件と人々。
キャラの鮮烈さと謎解きの楽しさ。
平安の豆知識も得られて３重にお得です。

他の方のレビューにもある通り、この作品は深い知識と豊かな語彙に彩られています。
読めばこの物語に舌を巻くこと間違いなし！

一つ一つのお話が読みきりになっています。
それをたどっていくうちに、いえ、もう最初の数行で、読者は、あっという間に、雅な中に不吉なにおいの混じる平安の世界へ！

蛮絵と呼ばれる黒装束を身に着けた検非違使、中原成澄。
それに絡む美しい双子の田楽師。
そして謎の陰陽師。

彼らの謎解きは鮮やか！
でも、どの謎も読後に不思議な色合いを残していきます。
切り替えてすぐにこの時代に戻ってくるのが惜しいほど……

　時は平安、見目麗しい双子の田楽師の屋敷に集まって来るのは、現在の警官たる検非違使や、捉えどころのない陰陽師ばかりに在らず、事件の類も近づいて来る。
　その近づいて来るものときたら、生死を問わずの怪しいもの――いやいや、物の怪以上に物の怪らしい人間の性や業。

　シリーズものであるため、一話一話が短くまとめられ、時代物を読んだことがない方でも楽しめる。

　魅力的なキャラはもちろん、美しい漢字や韻の数々。

　記録に残されることのなかった、哀しくも切ない人々の罪が、ここで、検非違使、双子の田楽師、陰陽師の手によって明かされる！

　本格的な小説を読みたい方には、何よりお薦めする小説です。

　平安の都。その治安を守る、現代でいうところの警察官『検非違使（けびいし）』。
　この作品は、心優しき検非違使の青年と仲間たちが事件を解決して行く連作短編です。

　舞い歌う、美しき双子の少年田楽師。
　無位無官、謎めいた青年陰陽師。
　個性豊かな仲間たちとの活躍を、一度覗いて見て下さい。深い知識と豊かな語彙に彩られたこの物語に舌を巻くこと請け合いです。