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『終わって』から『始まる』

  • 投稿者: 退会済み   [2013年 04月 05日 19時 45分]
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 身近な人を亡くした時、特に、それが肉親や恋人との悲しい別れだった場合、その衝撃は陳腐な言葉で並びたてても表現しえません。主人公はそこから逃げようとしました。しかし彼は『銀河鉄道の夜』のジョバンニのように、不思議な電車の旅に出ることになります。
 現実に見切りをつけ、死にたいと願った時、思い出すのは現実の温かい日々。でも、人生って楽しいことばかりではない。不安や絶望の中に、明日への生きる希望を見つけなければならないのだ。
『命ってね、永遠なんだよ』
 作中である登場人物がそう言います。家族同然の人を亡くし、片腕をもがれるような苦しみを味わっても、生きてた方が良い。彼が思い出せる限り、その人の生きた証が、確かにそこにあるのだから。
 物語はわりとすぐに終わりますが、それは新しい、別の何かへの始まりなのです。もしあなたが現実に倦んで、悩んだ時には、あなたの目の前にこの電車が現れることでしょう。
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