イチオシレビュー一覧

強大な獣人帝国に対して国家の存亡をかけて死闘を強いられる人類諸国。
異世界から人獣戦争という大戦争の真っただ中に紛れ込んだ主人公ハインツは新たにできた家族と自分の居場所を守るため、積極的に戦争に介入することになる。
チートの限りを尽くして所属する王国を強化するも、なお強大極まる獣人帝国との死闘は見ごたえ十分です。
また登場人物の数だけ真実があり、正義がある。敵味方ともに魅力ある登場人物達。
本作品は、死と隣り合わせのシビアな世界感で、戦乱と内政と冒険が盛り込まれた壮大にして緻密な物語です。

異世界もので「レベル」や「スキル」が存在する作品は多くありますが、この作品はそれらをきちんとした設定として数値に定めた上で、緻密に作り上げられています。

それこそ、開示された設定を纏めるだけで、TRPGとしてそのまま使う事も不可能ではない位です。

そして、その定められた世界設定を底本に、獣人国家と人間国家群との戦争というワールドストーリーの元、ハインツ・イルクナーという「ルールの同じ別世界からきた異邦人」の影響力が社会に与えてゆく変化を描いた物語となっています。

じっくりと準備された設定の上に整えられた群像劇は、きっと貴方にも満足出来る読み応えを与えてくれる事でしょう。

マップには国、都市が配置され、これを街道が結んでいる。
シミュレーションゲーム三○志を彷彿とさせる世界？。
この世界にやってきたハインツはここで初の統一国家樹立を目指すのだ。
右も左もわからない状態から、前の世界で手に入れたスキルを駆使し、一冒険者から、大商人とのコネを得て、敵の将を倒すなど武功も上げ、ついに国家宰相に駆け上がった。

という雰囲気ではありません。
統一国家樹立も（たぶん）目指しません。

主人公ハインツはこの世界で上位の力を持っているが、この世界に存在しないスキルは持っていない。
けっして無敵の力ではない。
だからこそ自分の持っている力を使いこなし、戦いも、外交も先を読みながら、まるで詰将棋のよう。
この物語にはチートによる爽快感とは全く違う“重厚な読み応え”があります。
おすすめです。

スキル、戦争、ハーレム…。何処かで聞いたような設定で、ここまで読ませてくれる小説はなかなか無いのでは？しっかり個性を持ったヒロイン達と、現実主義者の主人公ハインツ。残酷でありながら、どこか魅力的な強敵、獣人。勇敢に戦い、散っていく両勢力の強者達。二転三転するドラマチックな展開に、貴方はきっと引き込まれてしまうはず。治癒師ハインツのファンタジー小説、「アルテナの箱庭が満ちるまで」お薦めです！