イチオシレビュー一覧

　私がこの作者の作品にレビューをつけるのは二回目である。とにかく、読者を選ぶ作風であることは、間違いないだろう。幻想的な文体でコメディーを書くのである。並の神経をしていない。というか全体的にカオスである。だが、それがいい。──そういう読者を選ぶ。
　そんなコメディー作家が全力で挑んだSFホラー。私は貪るように読んだ。……面白い。予告文章を偽るために、ギリギリのスケジュールで挑んだそうだ。なぜそこに拘るのか。私は首を捻った。だが、まあ面白いからいっか。私は考えるのをやめた。それが大切である。
　ところで。と、あなたは後書きまで読み終えて、こう思うだろう。これ、別に〝夏〟のホラーじゃなくね？　と。その通り。ラインのように続くこの物語は1stライン『リトル・グッバイ』以降、季節を巡り、秋、冬と続いてしまう。だが、気にしてはいけない。面白いから、いいじゃん？　みたいな。緩い感じでお楽しみください。