イチオシレビュー一覧

軍事に関する用語、装備、そして携わる人間達の考え方や心情などが、似たような現代軍事力異世界物とは一線を画す質となっている。
これらは、おそらく他の著者にはない本著者特有の経験に基づいて湧き出されたものと思われる。
装備や資機材、仲間隊員の召喚に、主人公達が殺害した人間達の魂の数を原価とするなど興味深い設定を背景に、今後どのような展開になっていくのか非常に楽しみな作品。
多少ヒロインが複数出てくるが、安易なチートハーレムに辟易している読者にはオススメ。

カテゴリでファンタジー、しかも転生。ああ、またありきたりな……なんて思って読んでみましたら想像を越えてました。
主人公は特殊作戦部隊の隊員。ただの設定ではなく、それに基づいた行動が、そしてその描写がとても緻密です。ファンタジーな世界が舞台ですが、戦闘描写などとても本格的で、惹き付けられます。また軍事力を無制限に行使できるわけではなくその設定にも唸らされました。軍事に疎い人でも詳細な説明のお陰で読みやすいと思います。複数の登場人物視点の心情描写などもリアルです。お薦めします。

兵器や戦術の詳細で緻密な描写は元より、軍事素人の自分にも「これって実体験？」と思わせる戦場の空気のリアリティーに驚く。
また、プロの特殊部隊員であると同時に民主国家の軍人でもある主人公が、危機に際して拠り所とする内面の行動原理も、元自衛官という作者の経歴無しには書けない内容だ。
そして、負傷した仲間を案じ、圧政に苦しむ民に心を痛め、時に召喚を躊躇い、ヒロインとの関係では含羞の中に秘めた男の優しさを覗かせる、血の通った部分が描かれているのも魅力。
鍛錬を怠らず、誠実で謙虚で礼儀正しく、舐められてはいけない場面では実力を示し、有事には信念に従い命を懸けて戦う。
日本人にとって理想像の１つである「サムライ」とは、彼のような人物かもしれない。
戦記としての面白さもさることながら、彼の行動原理が異なる世界とどのように対峙し、受け入れられ、世界を変えていくのか、今後のストーリーに注目だ！