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静かに過ぎる悲しき思い出

ベトナムを旅行している気分になると同時に、時間旅行も一緒にしているかのような感じになります。
目で見てきたかのような高い描写力と戦争の悲しさ、人々の心の動きが混ざりあって独特の世界観になっています。
せつなく、はかない雰囲気があるのに、力強い小説です。
絶対生きてやる、生き残ってやるって気持ちが伝わるため、力強くも思えるのかもしれません。
あと、基本的に過去を観に行くって感じが心を揺さぶります!
おもしろいです。
静かにゆっくり世界観に引き込まれますよ。

戦争と平和、暴力と優しさが交差する作品

  • 投稿者: 退会済み   [2019年 09月 22日 00時 09分]
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なによりも目を引くのは、読者がベトナムにいるように錯覚させる、作者の情景描写です。

これは作者である野鶴様の表現力も勿論ですが、作者自身がベトナムの地を巡り、旅をした賜物でもあります。

ストーリーは主人公のマモルが、ベトナムの地で命を落とした父を偲ぶ為に、この地を巡っている所から始まります。

マモルは少年の時、彼の前に現れたベトナムの美女リリィと出会いました。リリィが何故日本にやって来たのかというと、ベトナム戦争中、彼女はマモルの父によって命を救われたからです。

そして少年のマモルにリリィの口から語られたのは、戦争の残酷さと狂気。暴力と人が銃を持つ理由。そして人の優しさ。

リリィとマモルの父は戦争という極限状態で、恋人でも、親子でもない、人間同士の確かな純粋な愛が育んでいきます。

戦争と平和

暴力と優しさ

相反す二つから、平和を願う作品です。
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