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未完成な少年たちの完成された物語

  • 投稿者: 本宮愁   [2014年 03月 27日 20時 46分]
オチるセカイのファンタジア。表題のごとく、主人公・トビラに扱える魔法は『縦軸座標の支配』のみ。
真上もしくは真下への、連続性を問わない転移。対象は非生物に限られる。チートには程遠い最弱属性『没落貴族』でありながら、たったひとつのMACを手にのし上がっていく少年の活躍――。
限定された条件のもとで、創意工夫により勝機をつかむ戦闘描写も、この作品の持ち味のひとつだろう。

だが、それ以上に私を感嘆させたのは、個性豊かなキャラクターが織りなす青春群像や、いい意味で熱く青臭い主人公。そうした瑞々しい十代の感性はそのままに、――"世界観が完成されている"ことだ。
ぜひ一度目を通し、この安定感を味わってほしい。大人の余裕と、少年の心が紡ぐ、絶妙な調和を感じてほしい。

軽妙な筆致に誘われて、あなたもきっと引き込まれる。

第二幕を迎え、さらに様相を変えた展開から、目が離せない。
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