イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く松風館という箱を覗く
- 投稿者: 退会済み [2022年 11月 05日 21時 34分]
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主人公・篠崎塔子は、自分を変えるため、全寮制の学校、松風館高校に入学した。入学式から一週間足らずで学校に溶け込めないでいた塔子だが、彼女を含めた一年生たちはまだ、真の松風生ではなかった――?
作り込まれた世界観や美しい自然描写、リアリティのある会話劇が魅力の青春ミステリである。ルームメイトの交流、入寮式は勿論、3章7話「夜の茶会」における緑風会執行部たちの茶会の場面は、全寮制でなければ書き出せないシチュエーションだろう。
生徒が受け継いできた「緑の王国」という箱の、そして塔子たちの変容を、今後も温かく見守っていきたい。
作り込まれた世界観や美しい自然描写、リアリティのある会話劇が魅力の青春ミステリである。ルームメイトの交流、入寮式は勿論、3章7話「夜の茶会」における緑風会執行部たちの茶会の場面は、全寮制でなければ書き出せないシチュエーションだろう。
生徒が受け継いできた「緑の王国」という箱の、そして塔子たちの変容を、今後も温かく見守っていきたい。
森深い山中の学園で大正期から連綿と引き継がれている緑の王国。その王国を守るために影で君臨する学園の王“獅子”。
百年の系譜で継がれた次代の獅子に、こともあろうか引っ込み思案の残念美少女、篠崎塔子が指名された。それも秘密裏に。
圧倒的描写が持ち味の本作は推理劇としても一級品だ。
当代の獅子の正体はいったい誰なのか。表立って学園を取り仕切る緑風会執行部の秘密は。詩織先輩が漏らした彼とは。塔子を射止めるのは良司か柊一か。そして、塔子入学の理由は。
主要な配役が出揃い最初の謎解きがひと段落したところで長い休筆期に入っていた本作だが、この秋、満を持しての連載が再開される。
未読の貴兄は幸福である。この稀有な演劇を連続した時間の下で読むことができる。
既読の諸兄は、更に幸福だ。ただ待つという極上のスパイスを入念に効かせた第五幕を、今から存分に味わっていけるのだ。
休憩は終わり、幕は再び上がる。
百年の系譜で継がれた次代の獅子に、こともあろうか引っ込み思案の残念美少女、篠崎塔子が指名された。それも秘密裏に。
圧倒的描写が持ち味の本作は推理劇としても一級品だ。
当代の獅子の正体はいったい誰なのか。表立って学園を取り仕切る緑風会執行部の秘密は。詩織先輩が漏らした彼とは。塔子を射止めるのは良司か柊一か。そして、塔子入学の理由は。
主要な配役が出揃い最初の謎解きがひと段落したところで長い休筆期に入っていた本作だが、この秋、満を持しての連載が再開される。
未読の貴兄は幸福である。この稀有な演劇を連続した時間の下で読むことができる。
既読の諸兄は、更に幸福だ。ただ待つという極上のスパイスを入念に効かせた第五幕を、今から存分に味わっていけるのだ。
休憩は終わり、幕は再び上がる。
謎解きと丁寧に紡がれる世界観
- 投稿者: 退会済み [2019年 05月 08日 04時 04分]
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私はなろうで初めて読んだ作品がこちらの『獅子の系譜』なのですが、、、ネット小説にこんな作品があったのかというのが正直な所です。
なんと言っても作者様の丁寧な描写。多分私の憶測ですが、随分時間を掛けて書いていらっしゃるんだと思います。じっくりと言葉を選び、読者にわかりやすいよう、配慮もされています。それがわかる文章というのは個人的にはそれだけで読欲が刺激されます。
描写や世界観に浸るも良し、謎解きで深読みしていくも良し、この作品には品の良さと押し付けがましくない面白さを私は感じます。読んで損は絶対しないと思いますよ。
あんまり書くとネタバレをしてしまいそうなのでこの辺で、、、
100年以上の歴史を持つ由緒正しき全寮制の学校、松風館高等学校。そこには生徒だけに受け継がれる秘密の伝統があった。
それは、生徒を「緑の民」として繁栄を続ける「緑の王国」。
それは、彼らを統べる正体不明の王である「獅子」の存在。
そして、偶然か必然か、この学校に入学した主人公・篠崎塔子はこの「獅子」の後継者に指名されてしまう。
そんな経緯から始まる「獅子」探しの青春ミステリーですが、緑の王国という舞台の完成度の高さと描写の巧みさで、あっという間にその世界観に引き込まれます。
塔子がその舞台に足を踏み入れた時、緑の民になるためのある儀式が行われます。その儀式を塔子とともに「通過した」読者は、きっともう緑の王国の一員になっていることでしょう。
そして、緑の民となった読者はもう抜け出せません。心行くまで、獅子探しのゲームを楽しんでください。
それは、生徒を「緑の民」として繁栄を続ける「緑の王国」。
それは、彼らを統べる正体不明の王である「獅子」の存在。
そして、偶然か必然か、この学校に入学した主人公・篠崎塔子はこの「獅子」の後継者に指名されてしまう。
そんな経緯から始まる「獅子」探しの青春ミステリーですが、緑の王国という舞台の完成度の高さと描写の巧みさで、あっという間にその世界観に引き込まれます。
塔子がその舞台に足を踏み入れた時、緑の民になるためのある儀式が行われます。その儀式を塔子とともに「通過した」読者は、きっともう緑の王国の一員になっていることでしょう。
そして、緑の民となった読者はもう抜け出せません。心行くまで、獅子探しのゲームを楽しんでください。
緑の中、静かに佇む歴史ある全寮制の学校。
そこには人知れず続く“伝統“があった。
獅子と呼ばれる“王“の存在。
“中”と“外”を隔てるトンネル。
100年続く秘匿された学生だけの王と国民。
決して“外の者”に知られてはいけない、秘密の王国。
繰り返される儀式。
そして絶対に姿を知られてはならない学生達の王、”獅子”。
永延と続く伝統に隠された謎と、獅子の秘密。
100年の歴史と伝統に挑むひとりの少女と、彼女を補佐するクラスメイト達。
彼女は果たして真実に辿りつけるのだろうか?
濃密な秘密の物語をご覧ください。
そこには人知れず続く“伝統“があった。
獅子と呼ばれる“王“の存在。
“中”と“外”を隔てるトンネル。
100年続く秘匿された学生だけの王と国民。
決して“外の者”に知られてはいけない、秘密の王国。
繰り返される儀式。
そして絶対に姿を知られてはならない学生達の王、”獅子”。
永延と続く伝統に隠された謎と、獅子の秘密。
100年の歴史と伝統に挑むひとりの少女と、彼女を補佐するクラスメイト達。
彼女は果たして真実に辿りつけるのだろうか?
濃密な秘密の物語をご覧ください。
百年以上の歴史を持つ私立松風館高等学校。
むせかえる程香る緑に囲まれた全寮制の学び舎には、生徒のみが知る伝統があった。
それは王国の「外」と「中」を隔てる、百年続いた秘密。
生徒たちは自らを「緑の民」とし、「緑の王国」の一員とする。
他の新入生がそうであるように、
塔子は何も知らずに入学した。
自分を、変えるために。
そんな本人の意思とは関係なく、
塔子はある「役目」を果たさなければならなくなってしまう。
それはーー。
個性的な登場人物たちと含みのある会話。
謎が謎を呼ぶ中で、塔子は「役目」を果たせるのか。
緑の王国で起こる青春ミステリー。
むせかえる程香る緑に囲まれた全寮制の学び舎には、生徒のみが知る伝統があった。
それは王国の「外」と「中」を隔てる、百年続いた秘密。
生徒たちは自らを「緑の民」とし、「緑の王国」の一員とする。
他の新入生がそうであるように、
塔子は何も知らずに入学した。
自分を、変えるために。
そんな本人の意思とは関係なく、
塔子はある「役目」を果たさなければならなくなってしまう。
それはーー。
個性的な登場人物たちと含みのある会話。
謎が謎を呼ぶ中で、塔子は「役目」を果たせるのか。
緑の王国で起こる青春ミステリー。
変わりたい、と思ったことはありませんか?
今の自分を変えたい、と。
この作品の主人公もまた、そう考えて郷里を離れた高校に進学しました。
でも、その学校にはなにか秘密があるようで……。
100年の昔から続く隠された伝統の儀式。
繰り返される王の交代。
そこに潜む意味は?
なにが彼らを駆り立て、なにが彼らを縛るのか。
山の中の陰鬱な学園とまつわる秘密。
主人公はその謎を解き明かすことができるか。
流麗で美しい文章と、臨場感のある描写で紡がれる幻想推理譚です。
あなたも、秘匿された扉を開いてみませんか?
今の自分を変えたい、と。
この作品の主人公もまた、そう考えて郷里を離れた高校に進学しました。
でも、その学校にはなにか秘密があるようで……。
100年の昔から続く隠された伝統の儀式。
繰り返される王の交代。
そこに潜む意味は?
なにが彼らを駆り立て、なにが彼らを縛るのか。
山の中の陰鬱な学園とまつわる秘密。
主人公はその謎を解き明かすことができるか。
流麗で美しい文章と、臨場感のある描写で紡がれる幻想推理譚です。
あなたも、秘匿された扉を開いてみませんか?
ここは、どこまでも開放的でどこまでも閉鎖された緑の学園。
ここに入学した新入生は必ず、とある儀式を受ける。
主人公の塔子もそのひとりだった。
彼女は変わりたかった。この場所で。自分の殻から出て、その翼を広げ。窮屈な思いを突き破り。そして。
弱気な自分を、変えたかったのだ。
暗闇の中、独りトンネルを歩む彼女。
自分の呼吸と足音しか響かないようなその場所で、塔子は光を求めて歩き続ける。
そしてとうとう、塔子の視界に光が灯った。出口だ。
思わず、歓喜の表情を浮かべる塔子。
しかし。
そんな彼女の後ろから。
――唐突に足音が響いた。
あり得ないことだった。彼女は一心不乱にトンネルを駆け出す。
塔子は走った。何度もけつまづき、転びながらも、出口を求めて。
走って、走って、走って。
そして、捕まった。
「約束を破ったね?」
これは緑の王国に迷い込んだ、ひとりの少女の物語。
ここに入学した新入生は必ず、とある儀式を受ける。
主人公の塔子もそのひとりだった。
彼女は変わりたかった。この場所で。自分の殻から出て、その翼を広げ。窮屈な思いを突き破り。そして。
弱気な自分を、変えたかったのだ。
暗闇の中、独りトンネルを歩む彼女。
自分の呼吸と足音しか響かないようなその場所で、塔子は光を求めて歩き続ける。
そしてとうとう、塔子の視界に光が灯った。出口だ。
思わず、歓喜の表情を浮かべる塔子。
しかし。
そんな彼女の後ろから。
――唐突に足音が響いた。
あり得ないことだった。彼女は一心不乱にトンネルを駆け出す。
塔子は走った。何度もけつまづき、転びながらも、出口を求めて。
走って、走って、走って。
そして、捕まった。
「約束を破ったね?」
これは緑の王国に迷い込んだ、ひとりの少女の物語。
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