イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

恐怖の中で光る、優しいメッセージ

  • 投稿者: 木下秋   [2014年 01月 01日 19時 00分]
作者、憂木冷が初めて挑戦した童話「惨林叉―思考停止の収得零兎―」。
『三輪車』をテーマにして書いたというこの作品。まずは「そのテーマでここまでのものが書けるのか!?」と驚かされる。作者の想像力の深さは底を知れない。
そしてその内容は童話といえどもダーク。前作で魅せた情景描写は、今作では恐怖描写に活かされている。その表現力には流石と言わざるを得ない。
しかし、最も注目すべきはメッセージ性。作者、憂木冷が今まで書いたどの作品よりも強い思いが込められている。
暗い恐怖の中で仄かに光る、優しいメッセージ。
背筋がぞっとするような描写もあるが、童話というのも頷けるだろう。
いや……むしろ童話だからこその恐怖なのかもしれない。
↑ページトップへ