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コトダマに囚われ、コトダマに弄ばれて、それでもコトダマの力を信じる。壮大なジュブナイル群像劇。

コトダマ——言葉が力を持つということ。
それは相手を呪い、心を傷付けるための言葉かもしれない。
それは自分を鼓舞し、立ち上がるための言葉かもしれない。

多感で一筋縄ではいかない、でも何ものにも代え難い『中学生』という時代にいる、少年少女たちの戦いを描いた群像劇です。
友情、恋愛、いじめ、自分自身のこと、家族のこと。
誰しもが抱いていたであろう思春期特有の『儘ならなさ』が、素晴らしい表現力で確かな質量を伴って紡ぎ出されています。
あの頃この物語に出会っていたら、絡まった心を紐解くための糸口になったのではないかと思えるほど。

確かな血肉を持った一人ひとりの主人公たち。必ず共感できるキャラクターがいるはず。
今を迷っている人にこそ、読んでほしい物語です。きっとコトダマの力を信じたくなる。
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