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命に嫌われている人の出会いと別れと

  • 投稿者: 九JACK   [2019年 08月 30日 18時 26分]
いじめに苦しんで、自殺まで考えた少女。それがとあるきっかけで、犯罪の多いこの年を守る殺し屋にかかわっていく物語。
いいところなんて、星がきれいなくらいしかない、そんな都市に住む人々も、殺し屋も、救いなんてないように生きている。
誰もが命に嫌われている。いつ来るかもわからないお別れに怯えている。そんな世界で、様々な人に出会って、別れて。
本当に大切なことをわかるまで、星がきれいですね、とつぶやいて、どれくらい、遠回りすることになってしまうのだろうか……

殺し屋として成長していく少女の人生の物語です。

 タイトルで述べたようにひとりぼっちだった少女、和子が一人の殺し屋オオカミと出会い、殺し屋として成長していく物語です。

 この作品には、見所がたくさんあります。

 オオカミにネコ、人魚に蜘蛛など、魅力的なキャラクター。
 迫力のある戦闘シーンに対して、ほのぼのとした日常的な場面もある。

 特に繊細な心理描写によって描かれる和子の心の動き。
 これは読者に、和子からの、殺し屋ネコからの喜び、悲しみ、苦しみなどが、まるで自分に起こっていることのように流し込んでくる。
 本当に心理描写が上手いと私は思う。


 和子の人間としての成長、殺し屋としての成長を、臨場感のある文章と共に楽しんでいただきたいです。
 本当におすすめです。興奮します。

シリアスでありながら、どこか暖かさも漂う不思議な作品です。

 まず、この作品を読んで感じたことは……日本でありながらも、どこか異国情緒の漂う不思議な雰囲気に充ちているなということでした。主人公の和子はある日……と、ここから先はあらすじにも書いてあるので省きますが、どこか暗い日常、和子の内面の描写、緻密でスピード感のあるバトルシーン、そして、スパイス的にそこはかとなく漂うユーモア……現代劇でありながら、ダークファンタジーの匂いも併せ持つこの作品、是非とも皆さんにオススメします。
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