イチオシレビュー一覧

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これは…卑怯だと思います。

  • 投稿者: 毛部会   [2017年 02月 05日 06時 54分]
エルフやドラゴン、人狼に魔法等のファンタジー要素満載のくせに、複葉機が舞い飛行船が空を行くどこか懐かしい世界観。
滑空するかのごとく爽快でスピーディーなストーリー。
そして王道とも言える真っ直ぐなハートとた少々の無茶も厭わない行動力を兼ね備えた主人公と、それを取り巻く魅力溢れるキャラクター達。
なんというか、これは嵌まらない方が無理というものです。
ええ、おかげで徹夜で一気読みしてしまいましたとも。
明らかに寝不足です。
なのに、凄く爽やかな気分なのです。
こんなのってやっぱり…卑怯です。

エルフ美人の大家さんは好きですか?

  • 投稿者: 退会済み   [2017年 02月 04日 07時 57分]
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「戦争からきらめきと魔術的な美がついに奪い取られてしまった」

という言葉をご存知ですか? チャーチルが第一次世界大戦を総括する本の中で述べた言葉です。

しかし本作では、第一次世界大戦をモデルとしながら、そこに竜、エルフ、魔法などを持ち込むことで、「きらめきと魔術的な美」を色濃く残しています。実際の歴史でも、戦闘機パイロットには騎士道精神を持つ人もいたんだとか。本作は、科学とファンタジーが併存するギリギリの時代を描いたと言えましょう。

と、小難しい話はここまで。主人公の周りには、エルフ美人の大家さん、がんばり屋さんの養女、いたずらっぽいダークエルフのお姉さんなど、萌えもいっぱい。

竜とともに複葉機が舞う世界。是非、楽しんでくださいね!

群青の翼よ、これが浪漫の灯だ──

 空を飛ぶのにどれだけの翼がいるのだろう?
 大きすぎればたためない。
 かと言って、小すぎれば飛ぶことすらできない。

 だとしたら……この小説はなんだ?
 徹底的に絞り込まれたその構造、読者を退屈させる間も与えず繰り広げられる展開に、それでいて弾けんばかりにあふれる躍動感。ふつうなら、いや、このヒトでなかったら空中分解してしまうようなギリギリのラインを、何喰わぬ顔で駆け抜けてゆく。それは大自然を生き抜いてはばたく隼のように鋭く、竜のように力強い。

 複葉機が駆る空に、魔法と竜が飛び、男も女もいきいきと動いている。繰り出される駆け引きに、アクション活劇、めまぐるしい群像のカメラ。
 その向かう先は、どこだろう……
 きっと、こんなこと言ってると、ニヤリと笑った竜騎士に帽子を吹き飛ばされるんだろうな、そんな気がしながら。

まごう事無き勇猛なる騎士よ

騎士の正義はどこにある。空の上にて翼にかけて。
戦争の大儀はどこにあるか。それが無いならブッ飛ばす。

魔法もある、飛行機もある、エルフもドラゴンもいる。それが全部引っくるめて熱量こめて襲い掛かる。

読んだあなたに槍が来る。正義と熱との槍が刺さる。
だって素晴らしきエンターテイメントってそういう物。

まごう事無き騎士達の物語。

闇鍋ファンタジーに偽りなし

  • 投稿者: 空伏空人   [2015年 10月 18日 11時 01分]
 なんだこれは。
 まず自分の感想はそれだった。
 エルフもいるし魔法もある。どうみてもファンタジーな世界だ。それなのにどうして、当然のように空を飛行船と複葉機が飛び、撃ち合いをしている。
 かと思えばやっぱり魔法が飛び、ドラゴンが現れ飛行船を落とす。
 滅茶苦茶に思えた。
 しかし意外と、すんなりと受け入れれた。
 科学と魔法。
 相反するものを、やりたい放題に混ぜ合わせて掛け合わせてくっつけあわせて、しかし、どちらかが食い潰すわけでもなく、ないがしろにするわけでもなく、なんとも奇妙なバランスで成り立っている。

 言うなればそれは、様々な生き物をくっつけたキメラが、気持ち悪さもなく意外とカッコいい見た目をしているようなものだ。

 ありえない。
 けれどそれがここにはある。
 ファンタジーが好きな人も飛行機が好きな人もどちらも楽しめるであろう闇鍋ファンタジーここに開幕! 

ファンタジー戦記の終着点(ハイ・エンド)。熱い空中戦が好きな方にお勧め。

  • 投稿者: 退会済み   [2015年 09月 17日 11時 44分]
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テルミアに仕官した異国の伯爵家の次男にして、有能な飛行機乗りである青年――結城文洋。頼れる上官であるブライアン子爵や、エルフの麗人であるローラと共に異郷の地で彼は軍人として充実した生活を送っていた。

そんな中、戦場の空にて彼はアリシア王国の魔術師の少女と邂逅を果たし――。

リーダビリティを追求し洗練された文体。卓越した観察力が成立させる世界観。映画を想起させる疾走感のあるストーリー。
そして、物語の華である麗しいヒロイン達と、俊英たる軍人文洋を支える誇り高き精兵はこれ以上なく魅力的だ。

更に一瞬たりとも気の抜けない高速の空中戦闘は中毒性を得る程のカッコ良さ。精巧な描写による圧倒的な臨場感、緊張感はこの作品ならではだろう。

なお数話読めば、この混然とした要素を上質なエンタメとして昇華させる作者の技巧に驚くに相違ない。

複葉機を駆る若き竜騎士は空の果てに何を見るか。
是非一読あれ。

眠らない翼のために


ぞっとした。
その翼の構造に。
こんなバランスで、小説は離陸できるのかと。

読んでみて、もう一度、ぞっとした。
コイツ、なに食わぬ顔で飛ぶじゃないか。
それどころか、優美なターンを決め上昇していくじゃないか。
読者の肝を潰すような動力降下をしてみせるじゃないか。

うそだろ――それが、読者としてのボクの最初の感想だった。

あたりまえのように読めて、あたりまえのように面白いこと。
それは、普通ではない。
奇跡に属する技だ。

それがボクに鳥肌を立てさせた。
どれくらい、このヒトは手放したのか。
自意識や、怒りや頑なさを――ひとつずつ、自分の筆致から下ろして。

物語は間違いなく面白い。
レシプロ機を駆る竜騎士たちはカッコよく、ヒロインたちはあまりに可憐で、強さを秘めて。
だから、読んで楽しんで欲しい。

そのあとで、これが奇跡であることを思い起こしてもらえたなら、言うことはない。

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