イチオシレビュー一覧

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『死神』は抗う。生命、そしてそれを作りし神の摂理に。

 彼はいつも死に際を観てきた。
 あまたもの生を否定し、死の絶望の淵に叩き込んできた。
 人びとは彼を呪う。
 死神ゼクロス。彼の名前は多くの人の嫌悪の情とともに。

 だが忘れないでほしい。彼は好き好んで人を死なせるわけではないということを。
 病いの少女の生に、真摯に向き合い、傷つきながらもその生を尊重しようとしていたことを。

 彼は死なせたくて死を宣告するのではないのだ。

 死神。それは死に瀕したものへ生の可能性を問う者。
 死神。それは生命崇拝の妄信に銃口を突きつける者。
 死神。それは生命を作り出した『神』に逆らう人間。

 死無くして生は語れず、また生を司る意思、ないし『神』無くして死を語ることは叶わないのだと。

 さあ、問いかけろ。
 本当に生きたいか?
 この『死神』のまえに、あなたは生を肯んずることができるか?
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