イチオシレビュー一覧

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ヒーローだけがヒーローじゃない

  • 投稿者: 山田結貴   [2014年 08月 12日 15時 13分]
人々から正義の象徴として感謝されているヒーローだけが、果たして偉大なのでしょうか。
少なくとも、私は本作を拝読してそれは違うと思いました。
ヒーローは、周囲の裏方に支えられてこそヒーローとして存在できているのです。

この作品の主人公はヒーローではなく、あくまでもヒーローを支える裏方の人物です。
ヒーローが来るまでの時間稼ぎとして、怪人を足止めするという役割を担っている人物が主人公なのです。
命がけで地域の平和を守る任務の一端を背負っているにも関わらず、
誰からも応援されることなく、感謝の言葉の一つももらえない。
どんなに懸命に人々を救っても、自分のことは見てもらえない。
それでも彼は、誰かのために戦い続ける。
そんな姿の中に『真のヒーロー』とは何なのかを考えさせられる作品です。

本作を読めば、きっとあなたは主人公にこう声をかけたくなると思います。
「頑張れ、ヒーロー」と。

異色のヒーローにして王道のストーリー

  • 投稿者: 退会済み   [2014年 08月 12日 01時 18分]
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この物語の主人公はヒーローではなく、ヒーローを盛り上げる脇役。もしくはヒーローを支える裏方の物語。

それも美人オペレーターでも、装備を作る博士など、ヒーローに欠かせない要素、ヒロインや名脇役というものでもない。

単なる時間稼ぎ、ヒーローが来るまで、ただ怪人をその場で拘束するためだけの役割。
ヒーローが来れば用なし。声援もなく応援もない。
しかもその命がけの仕事の報酬は月給八万円。泣けてくる。

だけどそんな彼にだからこそ、僕たちは応援する。

かっこ悪いけど、一生懸命戦う姿。報われないけど、努力する姿。この作品を読んだ人はきっと感動することだろう。
これはヒーローを題材とした作品では異色だ。
だが感動する王道のストーリーである。

まずは読んでみることをお勧めする。

失敗しても、つらくても、前に進む勇気を与えてくれる。
そんなヒーローにきっと会える。
これはそんな物語だ。

ヒーローになりたかった男

  • 投稿者: ヤミヤ   [2014年 08月 05日 19時 39分]
ヒーローになりたかった男。
だがなれなかった男。
それでも彼は確かにヒーローだった。

誰でも一度は憧れたことがあっただろう。
ヒーローになりたいと。
主人公になりたいと。

でも、実際は主人公になりたくてもなれるのはほんの一握りの人間だけ。
ほとんどの人間はヒーローになれない。
主人公にもなれない。

それでも彼は頑張った。
かっこ悪くても罵倒されても彼は頑張った。
それはどんなに辛かったことだろう。
それはどんなに大変なことだったろう。

これは現実でもいえることだ。
どんなに頑張ってもみんながヒーローになれるわけではない。
どんなに頑張ってもみんなが主人公になれるわけではない。

でも、必ず認めてくれる人はいる。
たった一人でいい。
たった一人でも認めてくれた時、その人はその人にとってのヒーローであり、主人公でもある。

男は、なぜ戦うのか

  • 投稿者: 布瑠部   [2014年 08月 04日 09時 10分]
顔丸出しのダッサい茶色の手袋。その性能は常人の一・五倍。

そんな装備で怪人に立ち向かう主人公、波多江純一はヒーローではない。

彼の任務は、ヒーローが到着するまでの、命懸けの時間稼ぎ。それしか出来ないのだ。

任務に成功しても引き立て役、感謝どころか馬鹿にされ罵られすらする日々。

これはそんな男の、地味で情けない戦いの記録である。

しかし敢えて断言しよう。

これで魂が震えなければ、男じゃない!

弱くても、カッコ悪くても、情けなくても。

真の英雄は、ここにいる。

まず衝撃を受け、次にニヤリとし、悔しくなって、最後に泣ける短編

  • 投稿者: 退会済み   [2014年 08月 02日 17時 09分]
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多くの人が、一度は考えたに違いない。

「テンプレのヒーローものをネタに、小説書いてみようかな」

と。
長い口上を述べる怪人を、ヒーローに攻撃させてみたり、
ヒーローに損害賠償を支払わせてみたり。


しかし、この作者は私たちの貧相な想像力を、軽々と飛び越えていく。


まず、主人公はヒーローではない。
短編故に、どうしてなのかは書くことができない。
ただ、彼は誰からも感謝されず、かえりみられることなく、戦い傷ついていく。

報われない夢に挑み、誰かのために命をかける。


泥臭くて、地味な。
それでも何度も読み返してしまうような、カッコ良さと切なさの詰まった短編である。
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