イチオシレビュー一覧

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時代喜劇、推参。


 1711年、天下の永世江戸。
 金髪青眼の『征夷大将軍』ピエール徳川七世の治世。
 自称『とれじゃーはんたー』の日暮風太郎は、実兄のコネにより、将軍直々に大任を与えられる。
 霊感を宿す『巫女』立花と共に旅立ち、全国行脚の果てに『宝』を見つけ出すのだ。

 馬鹿を言え。
 眼を閉じて耳を塞いで三秒考えてみろ。
 意味がわからない。どこに真があるものか。
 登場人物は胡乱な連中で、胡乱な話に乗っかって四方山話に精を出す。
 この物語には、嘘がある。

 そう思っていた筈なのに、気が付けば彼らの行く末を見守らずにはいられない。
 それは、彼らが誠を持っているから。
 自分らしく生きたいと願い、行動をしているから。
 この人々には、美意識がある。

 侍とは、剣に映る己と向き合う者。
 日暮風太郎はそんなことはしない。
 『とれじゃーはんたー』なのだから。
 きっと、映った己に舌を出す。

貴方は何回騙されるのでしょうね?

  • 投稿者: 海蛇   [2016年 02月 10日 23時 33分]
時代劇風の世界観、プラスちょっと胡散臭さ。
実力は確かながら自称とれじゃーはんたーを名乗るちょっと胡散臭い主人公『風太郎』と、宝物を探す力を持つというちょっと胡散臭い巫女『立花』を中心に話は廻っていきます。

いわゆる諸国漫遊的な物語ですが、事の発端ともなる征夷大将軍『ピエール』や姫君『ルナ』など、一癖も二癖もある人物達が魅力的。
誰一人無駄な人物はいません。皆曲者食わせ者揃いです。
そんな彼らが事あるごとに絡んでくるのだから、お話も全体的に胡散臭いかもしれませんね?

どうぞ愉しい永世江戸へ。

一読の価値がある、パラレル時代小説

  • 投稿者: アマラ   [2015年 10月 31日 16時 24分]
もともと筆力のある作者の、少し変わった世界観の作品
キャラクターごとの個性に、さっぱりとした時代劇風のエピソード
これらの相性がとてもよく、作者の持ち味である「キャラの濃さ」も相まって極上の読後感を味わえる
「小説家になろう」の場所柄「時代劇」然としたこの作品を毛嫌いするものもいるかもしれないが、ぜひ一度読んで見てほしい
作品自体もさほど長いものでもなく、完結もしているので、すぐに読みきることができるだろう
そして読みきったころには、主人公達のこの先に思いを馳せている筈だ
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