イチオシレビュー一覧

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皮肉たっぷりな「めでたし、めでたし」。目をつぶり、耳を塞いでも、毒はじわりとまわっていく。

人は手に入れられないものにこそ恋焦がれる生き物。そして、手放してしまったものを懐かしみ、忘れられない因果な習性を持っています。そのくせ、大事な時には必ず間違うのです。大切なものは何なのか、本当は初めからわかっているはずなのに。一度ついた嘘は、ねじれてもう元には戻りません。

海に面した小さな国に、美しいお姫様がおりました。お姫様は退屈なお城の暮らしに飽き飽き。本当のお姫様を好きになってくれる人はいないかしらと、夜空に向かって歌を歌います。そんなある日、一羽のミミズクがお姫様のもとを訪れたのです。ミミズクはお姫様を森へと招待するのですが……。

さて、本当に愚かだったのは誰だったのでしょうか?
あなた? わたし? それとも……みんな?
人の気配がすっかりなくなった場所では、昔と同じように木々が芽吹き、海はたくさんの命を抱いて眠ります。遠い昔から寄り添っていた無垢な恋人たちのように。

甘くてやさしい世界だけが童話ではない

  • 投稿者: 白い黒猫   [2015年 01月 09日 23時 27分]
本当に素晴らしい童話は子供だけでなく大人も楽しめるもの。
この作品はまさにそれです。
やさしい言葉で語られるもののそこに書かれている内容はシンプルでいて深いです。
描かれているのは、悪ではなく『人間の愚かさ』
愚か、無知であることがどれほど恐ろしい事を引き起こしていくのか? を強く読者に訴えかけます。
是非お子様と一緒に読んでこの物語について話し合って欲しいです。
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