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偶然の出会いは悪魔を生み出す

  • 投稿者: 足利義光   [2015年 07月 29日 18時 12分]
まるで一流のクライムサスペンスを見終わったかの様な余韻を感じます。
この作品はこれだけでも問題なく読めますが、もしも機会があるのならば、「凶界線――ボーダーライン」を読んでおくと、色々な設定が繋がりますし、とあるキャラの変貌を楽しめるはずです。
物語は、一言でいうと「偶然」から「必然」へ。

ある出来事で心を喪失した少年が、とある事故に遭遇。
そこから様々なキャラ達と相対し、クライマックスへと至る。
序盤はゆっくりと進む展開だったのが一転、終盤は一気呵成のフルスロットル、疾走感。
まるで最高の絶叫マシーンの様なスピード感。
そして迎えるのは裏社会に生きる彼等の各々の選択に相応しい結末。

その結末として、ある人物の人生が闇の底へ堕ちる。だが彼が生きる為にはそれこそ必然だったのかも知れない。

だからせめて祈ろう、僕達の人生が彼らに重ならない事を。
僕達の人生が平穏である様に。

ダークな作品だからこそ読んで欲しいですなぁ

この作品のなろう系では珍しいダークな世界観と心理描写はとても素晴らしいですなぁ。

ストーリーが流れていく中でキャラクターの根底的な立ち位置がしっかりしており、そこからキャラクターの行動原理が読み取れて、推測していく楽しみがたまらないですなぁ。

独特の世界観やセンスにゾクゾクする作風、読み進めれば進めるほど作品に引き込まれてしまいましたのぉ。

皆様、五月の夜長に『はぐれ者――闇に蠢く男たち――』を読まれてみてはいかがでしょうか。

そして、作品をさらに読み込みたい読者さまは『凶界線――ボーダーライン――』もお勧め致します。



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