イチオシレビュー一覧

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運命の残酷さに酔う、悲恋物語

物語はハッピーエンドでなければならない、ということはありません。

身分の差はあっても親しく育った幼馴染三人の関係が捻じれていく過程が、王太子ラグナの立場を通して、鮮明に描かれていきます。三人だけでなく、師や両親の影響、他国の干渉や貴族間の勢力争いまで加わり、やがて彼らは「どうしようもなく」追い詰められていきます。
優越感、迷い、嫉妬、優しさなど……登場人物ひとりひとりの心情がよく理解できるが故に、何故こうなってしまったのかと、読むほどに惹きこまれます。

単純な恋愛やハッピーエンドではもはや物足りなく感じている大人の読者に、お薦めします。
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