イチオシレビュー一覧

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重厚感すら感じる程のリアリティに溢れる、ファンタジー戦記です。

  • 投稿者: 退会済み   [2019年 07月 22日 17時 15分]
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小国マルブル王国の少女軍師である、天使レージュは、強国カタストロフ帝国からの侵略を、古代の道具と数々の奇策を用いて凌(しの)いで来ました。

しかし、三年の激闘の末にマルブル王国は敗北を喫(きっ)してしまい、レージュは片目と片翼を奪われ、隻眼片翼となってしまいました。

それから半年後、半分の天使レージュは、赫赫(かっかく)の髪を持つ義賊の盗賊団の団長であるヴァンと共に、マルブル残党軍を率いてマルブル王国の再興のために立ち上がります。

キャラや世界観が非常にリアリティと存在感に満ちていて、キャラの心理描写や、状況や風景などの表現力が高いため、読み手に細部まで伝わる素晴らしい作品です。ファンタジーにありがちな現実感の脆弱さを覆す、本作品の底力が凄い美点です。
現実味と存在感があり、重厚感さえ感じてしまう程のリアリティ溢れるファンタジー戦記です。

皆様もぜひ、この世界を堪能してみて下さい。

こいつと一緒に、今度こそ不平等な世界を変えてやろうじゃないか。 


   建国。

こんな途方もないテーマ聞いたことありますか?
無いでしょ? 俺もない。


義賊を名乗る盗賊団が、亡国の再建を誓う。
誓うってだれに?
えー、それはのちほど。

  主人公 "ども" を悪漢と見るか英雄と捉えるかは、あなた次第。
  この作者はヴァンをどうしたいんだろうね?


「――俺たちは国に捨てられたならず者だ。国のため、王のため、そんな大層なもんは何も持ってねえ。だからこそ、俺たちは、己と仲間を守るためだけに全力で剣を振るえ!」


  この作者はヴァンを、リーダーにしたいそうだ。


「約束しよう。必ずマルブルを取り戻し、世界中にある古代遺産を全部まとめて放り捨ててやる」
「その約束、破ったら許さないからね」


  古代遺産を回収する、片翼の天使にヴァンは誓う。




          ……片翼???

流行に一石を投じる、本格戦記!

  • 投稿者: 如月 恭二   [2017年 07月 20日 23時 14分 ()]
なろうと言えば、異世界転生、異世界チーレムが流行している。
それらがトレンドとなっている中で、この作品は、
チートなし。
ハーレムなし。
魔法はあるが、それよりは立ち回りを重視。
更に、異世界要素なし。
……としている。
『トレンドから外してる』と侮るなかれ、その本質はキャラが織り成すドラマ性にある。
一辺倒の王道とはまた違った趣、一癖も二癖もある人物が噛み合うストーリー。

流行に逆行している作品とは言え、けして退屈しないはずだ。
寧ろ、気が付けば頁を繰っていることだろう。

既存のライトノベルよりも熱くなれる、新感覚戦記がここにある。
是非、一度読まれることをオススメする。

読んでみる価値のある一作

  • 投稿者: ひょろ   [2017年 06月 18日 23時 23分]
物語に大きな矛盾点などがあると、私は読むのをやめてしまいたくなるタイプの人間ですが、この作品はほぼそういう点がなく、非常に楽しく読むことができました。

この作品は戦記としての分類かもしれませんが、ただ戦争する内容をひたすら書くのではなく、そこに登場する人物たちの心情が非常に素晴らしく書かれている作品です。
たった10歳そこらの年齢で多くの期待を背負い、一度は負け、奪われた国と友を取り戻す為に再度立ち上がった、自分の生まれを知らない軍師の少女。
国のあり方に絶望し義賊となったが、なにも変えることができず、それでも己の願いを叶えるため、王太子となり戦う男。
それ以外にも敵味方問わずいろんな想いを抱えて戦うものたちの姿が描かれています。

いろんな人の想いが刻まれた物語、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。

じっくりと腰を据えて読みたい戦記ドラマ

 一度は国を守ることに失敗し、片目と片翼を奪われた少女軍師レージュと義賊の頭目であるヴァンを中心とした再興の物語。戦記物でありますが、同時にヒューマンドラマでもあります。
 少女であるレージュは常に冷静な態度を取る一方で少女らしい弱さを覗かせ、しかし仲間たちに支えられて強大な敵に立ち向かっていく様には心打たれます。特にヴァンと心を通わせるシーンはレージュの年相応の様子がとても可愛くてニンマリ。

 また多くの登場人物たちが見せる様々なドラマも魅力的。敵も味方も双方の様々な心情が丁寧に描かれて奥深さを作り上げており、読者である私を魅了していきました。
 加えて古代遺跡・遺産や「天使」といった要素が物語の根幹に深く関わっており、今後どのような背景が明らかになるかも眼が離せません。

 重厚な戦記ドラマ。たまにはこういったストーリーもじっくりと腰を据えて楽しんでみては如何でしょうか?

微ファンタジーの重厚な戦記物

 戦火に焼かれた戦敗国マルブルの再興を目指すこの話。敗戦直後の国が戦争を始めるのだから、人や武器が足りないのは当たり前。練度はあっても数が無ければ戦力などもってのほか。 さらに重傷を負った軍師レージュと義賊の頭目ヴァンを主人公に据え、開始時点で八方塞がりという重い制約を課せられたところから始まります。
 主人公の少女が翼を持ち、古代の遺跡などのファンタジー要素もありますが、魔法やスキルのようなものは前に出ず、知略を尽くして駒を進める様が面白い。
 最強系主人公に食傷気味なら、是非ともページをめくってみてください。
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