イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

結界に囚われたある悪魔の物語

  • 投稿者: XICS   [2020年 01月 01日 03時 42分]
「JR山手線」という結界の中で生きることを強いられた悪魔ヴェルフェゴール。彼がその領域の中でさまざまな人間や悪魔、そして多種多様な宗教の神様や天使と交流する中で己を見つけ出す――というのがあらすじである。

まず、作者の文章構成能力が高いおかげでヴェルフェゴールをはじめとした登場人物がいきいきとして見える。例えば主人公は悪魔なのに妙に人間臭く、人間に含蓄のある助言を与えたり、女性の神様に馴れ馴れしくされると困惑したりと、真面目系からコミカルなところまで色々な面を見せてくれる。
また、地の文も作者の力量のおかげで読ませる文章になっている。情景や心情がダイレクトに伝わってくるのは注目する。

この小説でしか見ることのできない悪魔や神様を、読んでみてはいかがだろうか。

読む作品を求め百作を一話以上読み、その後『読みたい!』と心に残った作品

クスリと笑え、一話完結。
読みやすい、だけでなく。一話毎に心に何かを残してくれる作品。

主人公は生まれながらに東京に閉じ込められてしまった『東京悪魔』。
吸血鬼の手伝いをしてたり、友人と口喧嘩して負けを認めたり、人間を激励したり。とにかく、人間臭い。

他にも天使が悪魔と契約を交わすとか、その後、悪魔が天使とメル友になるとか。

どうなっていくんだ、この作品! と、また読みたくなり。

ある人に出会い更に『人間らしく』なっていきます。続きが気になり止まりません。


物語が急激に変わっていくのは後半。
『東京人間模様編』は多少前後に絡むことはあっても一話完結。ですが、『東京大魔境編』ではある問題を解決するため、連続した物語でもあります。

それまでになかった出逢いにより、心の成長を大きく遂げます。
私は前半でも色々と心に響くものを感じていましたが、後半では、もっと大きなものを感じました。

可愛い悪魔は好きですか?

悪魔の苦手なもの。十字架、聖水、お祈り、銀の銃弾。そして、鉄によって作られた輪。
これは「JR山手線」という巨大な鉄の輪にとらわれた悪魔の物語です。

鉄の輪に魔力を封じられたためなのか、生まれ持った本質なのか。主人公・ヴェルフェゴールは外見とは正反対にとても人間臭い悪魔です。
時に吸血鬼を助け、人を励まし、人に恋をする。そんな彼の姿に、釘付けになること間違いなしです。
また、作者のセンスが光る「悪魔風」な文章がこの作品の最大の魅力でもあります。

友人である吸血鬼のクォーターの医師や、新聞屋の天使といった個性的な面々もヴェルフェゴールを引きたてます。
山手線の限られた範囲でしか生きることができない彼の、愉快でありながら教訓にもなる日常を楽しんでみませんか?
↑ページトップへ