イチオシレビュー一覧

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向き合わねばならぬのだ、“存在の仕方なさ”に。

 魔王候補として生まれた主人公、エリオン。
 魔女の娘であるココロと出会った彼は、彼女と交流を重ね、さまざまな事情からくる“仕方なさ”と向き合い、それでもなお彼女のそばにあろうとしました。
 ココロを守るため。
 ココロの悲しまない世界をつくるため。
 エリオンは人間を、ココロをさえだまし、人に化けました。やがて彼は、彼ひとりしか知らない孤独なたたかいへ自ら身を投じ……。

 クライマックスでのココロの“ひとこと”には、思わず上を仰いでうなってしまいました。そうか、そうだったのかと、それまでの彼女の心情を思い直したのです。
 最後の展開はやりきれない思いを抱えながら読み進めました。これも“存在の仕方なさ”なのでしょう。
 読み進めるごとに、あなたも様々なことを思うことになるでしょう。この作品はそんな魅力に溢れています。

 読了時間はおよそ90分。
 休日のひとときに、是非ご一読ください。
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