イチオシレビュー一覧

　主人公は音楽に対して、騎士たちは自らの誓いに対して、まっすぐに全力て生きている。
出来ないことの理由を探し、傷つかないために全力を出ない、そんなある意味大人になってしまった私たちにとって、彼らの生き方は眩しく、憧憬を覚えずにはいられない。
騎士たちに強く求められ、主人公は音楽で、ある時は力強く祝福し、ある時はやさしく癒していく。その場面では、その奏でる音がまるで聞こえるようだ。
　感情がないと酷評された主人公の演奏が、真摯な騎士たちの生き方に触れることによって、感情豊かな音に変化していくだろう思われる。その時の演奏を実際に聴きたいと思わせる、まさに大人のための極上のファンタジーだと思う。作中の音楽と共に楽しみたい作品である。

とにかく最初はかみ合わない。
何がと言うと、他の世界からきたヒロインと、その世界の住人が、である。
挙句の果てには風呂にはいってるところを覗き見され、モンスターに追いかけられ。
このリアリティ溢れるやり取りの後で、そこの世界で出会ったサド気質イケメンの存在が描かれていく。そのイケメンの部下とのノリ突っ込みの会話も非常に面白い。こういう主従関係、嫌いな人はたぶんいないのではあるまいか。
そして何よりも特筆すべきは、ヒロイン真澄の気質だろう。
一本筋の通ったものの考え方、そして何より強い心を持っている。それが嫌味にならず、それどころか非常に好感がもてるような描写がされているのだ。
とりま、このようなしっかりした人物描写の上に成り立つ物語が、面白くないはずが無い。異世界転移モノは大の苦手だが、コレならスイスイ読める。もし、これから異世界ものを書きたいのなら、ご参考にするのも悪くないかもしれない。