イチオシレビュー一覧

　本作は、二度読むべき作品だと言う事をまず最初に明記しておこうと思う。一度読み、作者のあとがきを読み、もう一度読んでこそ、この作品はより強い文章作品として心に残る事だろうと思う。

　本作はあとがきも含めて本編の一部だと思って読んだ方が良いではないだろうか。本編後に書かれているしっかりとした内容説明が良い味を出している。これぞ読んでいて楽しいあとがきという物だろう。
　勿論、それらを読まずとも作品は上手くまとまっており、状況の変化と共に変わりゆく心理描写が怖さを引き立てている。
　そうして最後に作者自身の言葉を読む事によって作品の意図を正しく理解し、読書体験は完遂されるように思えた。

　音楽でライナーノーツとは良く聞くものの、こういった短編作品に対して思いを綴るというのもオツな物だなと思った。

　さあ、物語を読み、あとがきを読み、もう一度最初から、作者の言葉に頷きながら物語を読もうか。