イチオシレビュー一覧

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ミスリードの仕方が巧妙。してやられました。

 繊細な描写、日常生活の何気ない部分を切り分けて皿に乗せることで、それはあるものから、味わうものへと変貌を遂げる。(食に偏っている気もするけど、まあそれはそれ)
 ただの人物のイラストに、背景を書き込むことでそこに物語が生まれるように、気がつくと登場人物が実在感溢れて息づいてくるのが、無理な説明で登場人物紹介のような地文を読まされると興ざめな自分には合っていた。

 ここは難しいところだが、肝心のSFの道具立ての部分の説明が、駆け足で紋切り型のように思え、いっそ要らないのではと思ったのだが、これはラストまで読めば必要不可欠な要素だと納得。こういう部分をさりげなく書くのは全く至難だけれど(常に実感してますし)この部分から「読まされている」感を削ぎ落とせば、作品がもうちょっとこなれたものになるだろう。

 (多分)オマージュとして使われている作品を知って居る方が美味しく味わえるかと思います。
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