イチオシレビュー一覧

方向音痴だからこそ見える景色がある!

  • 投稿者: 白い黒猫   [2017年 03月 30日 22時 30分]
 方向音痴のヒロインが異世界で奮闘するファンタジー。
 ヒロインが異世界にいき使命を与えられ…というとなろうによくありがちな転生ものと思いがちですがそんな単純な物語ではありません。
 私がこの物語を読んで感じたのは、ちょっぴりダークで、ちょっぴり大人で良い意味でクレイジーな世界。まるで【不思議の国のアリス】のようで、出てくる人出てくる人は皆個性的でオカシナ人達ばかり。
皆が皆不器用で人生の生き方を間違えて色々縺れてしまっている状態。
人生そのものを拗らせ迷っている人達に向き合うことになったのは方向音痴のヒロインかおる。読者はヒロインと共にそのオカシナ人達のいるオカシナ世界を漂い共いん悩み迷うことになります。迷っているからこそ、寄り道も出来るし、同じく迷っている人の気持ちも見える。かおると共に歩いた道はどれも無駄ではない。器用とはいえないヒロインの生き方を楽しむ。そんな物語です。

そのケーキ、劇薬につき。

  • 投稿者: 橘 塔子   [2017年 03月 26日 15時 12分]
方向音痴のOLかおる。彼女は仕事中に異世界へと連れ去られ、そこで『次の王の妃となる』という予言を受けた姫君のために奔走する羽目になる。完結済み。

構成要素はキラキラした恋愛ファンタジーなのだが、可愛らしいデコレーションに騙されてはいけない。華やかな外見にシビアな毒が隠されているのがこの作品の油断ならないところ。
潔癖症魔導士に放蕩王子、偏愛の騎士やワガママ放題の聖女――めんどくさいことこの上ない登場人物たちは誰もが深いコンプレックスを抱え、それを埋めるように激しく他者を求めている。想いの強さゆえに道に迷った彼らを、方向音痴なヒロインは導くことができるだろうか。絡まった糸を解いた先で、姫君が選ぶ『次の王』とは――。

語り口は軽妙かつ鋭く、文章力の高さが感じられる。差し挟まれる閑話は特に秀逸。甘いお菓子に投影された苦い心理が心に刺さる。
大人の女性にこそ楽しんでもらいたいファンタジーだ。

努力は報われるとは限らない

  • 投稿者: 退会済み   [2017年 03月 24日 14時 43分]
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 主人公は現代社会で生きていたOL。方向音痴、努力をしても報われない。冴えない散々な人生を送ってきた彼女がひょんなことから異世界に渡ってしまうというのが全ての始まり。
 導入は分かりやすい異世界転移ものだ。後々様々な使命や力を得ていく主人公だが、おそらく彼女の持つ最大の力を言い表すのなら「絆」の一言だろう。
 登場人物はどいつもこいつも一癖あるし、過去は面倒くさくて今も立場やらで面倒なことばかり。主人公だって色々ややこしい。だが、そんなややこしい人々を、主人公は持ち前の楽観さと今まで培ってきたもので人々と対話し、絆を深めていく。
 存在は特別だ。力もある。だが、彼女が持つ最大の武器は真心一つ。
 努力が報われるとは限らない。だがその努力は確かな力となっている。

 少しずつ繋がっていく物語は、我々に驚きと感動を与えてくれる。この世界の息吹をどうか感じてもらいたい。

涙が出るほど美味しい、お菓子のような異世界ストーリー!

  • 投稿者: LED   [2017年 03月 22日 20時 08分]
現実世界の理不尽に悩む人々の多い昨今。
私たちはそれに抗ってきただろうか? 克服しようと努力しただろうか?
これは恵まれないながらも必死に努力し、それでも報われなかったOLが主人公の物語。

だがそんな主人公だからこそ、異世界を救う鍵となり、理を変える万能の力を得る。
その過程は説得力とカタルシス抜群!

しかし本当に大切なのは、彼女に与えられた役割と力ではない。
苦悩する人々が心の底で何を望んでいるかを導き出す、対話。
それは現世で報われなかったからこそ身につけた彼女自身の能力で、物語最大の武器なのだ。

「テンプレ? もう飽きたよ」
「巷のテンプレものはどうも苦手で……」

そんな人にこそ読んで欲しい。
今まで見たどんなテンプレものとも違った、重厚かつ幻想的な異世界が。
作中にしばしば登場する美味しそうなお菓子のような、感動の物語があなたを魅了するだろう。
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