イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

なろう百合小説界(今作りました)に激震走る!

 この物語は全編一人称で語られます。最初は『私』、次に『ガスマスクをつけた佐藤さん』の語りです。

『私』視点ではガスマスクをつけた佐藤さんの不気味さが浮き彫りとなる。なぜ学校でガスマスクをつけているのか。その奇妙な謎が、視点を変えて明らかにされてゆく。序盤を彩るこのミステリー要素に、まず引き込まれました。

 彼女がガスマスクをかぶらなければならなかった理由。そこには大きな悲しみがあります。
 本作には胸が張り裂けるような青春小説としての側面があることを、まずわたしは強調したいと思います。

 その礎の上に、純度の高い『百合』と『狂気』が積み上げられてゆきます。めっちゃちゅーしてます。かわいい。あとめっちゃ薬飲んでラリってる。やばい。

 決して耽美にはなりすぎず、緩く淡々としていて愛らしくて、それなのに悲しくてどこまでも狂っている彼女たちが……幸せになってほしいなあ!と心から思います。
↑ページトップへ