イチオシレビュー一覧

悲しい前世の想いが胸をつく
何故彼らばかりが前世の記憶があるのか

今度こそは幸せになって欲しいけれど、やはり悪役にも前世があり、暗い影が忍び寄る。
もう恋なんてしないという想いは守り切れるのか、それとも繰り返してしまうのか

個人的な感想としては恋情がないままでも幸せになって欲しいものです。
愛されてるなら別に恋なんてしなくてもいいじゃない？

　悲しい前世が、銀髪の少女を縛りつける。転生者......前世では恋焦がれた相手を奪われ、悲痛な想いを抱いたまま、命を絶った。少女は恋に夢を見ない。当然だ、今回は悲惨な目に逢いたくないのだから。

　けれども、運命の円環は彼女につきまとう。逃れられない。恋慕が、執着が、慕情が――ただ平穏に生きていきたい彼女を追う。

　胸に問いかけてみよう。ある人を好きになるのは、間違いなく現在の自分の心であるはずだ。だが、その心が最初から自分の心であるという保証はあるのか。時の悪戯、あるいは皮肉な神の手で、生まれ落ちた瞬間から、心が染まっていないという証拠は無い。

　果たしてそれは自分の心か。

　ミステリチックな仕掛けが施され、一癖ばかりある登場人物が絡み合う。甘く、けれども背筋が寒くなるような恋の夜想曲は終わらない。