イチオシレビュー一覧

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今わかりました。幼女の心は彼だったんですね。

TSとは基本的に主人公がTSするというのが肝だと思っていたが、この作品はそうではないというところが珍しい。珍しいだけではなく面白い。
そして、実際にはこの作品の核心的な部分は実をいうと、TSではない。読んでみるとわかるのだが、この作品はどちらかといえばAR寄りな面白さを追求しているように思う。ARが何かわからない?小学生になった名探偵みたいな若返り属性ですよ。
つまり、この作品の面白さは童心に帰ることである。これに尽きる。なので、身体の所有性が不安定になるVRTSモノの弱さを、普通なら【なぜか知らんが現実世界でも少女の身体になったりして克服する】ところを、あえて放置している。あくまでもプレイヤーは男のままだ。なぜなら子どもだった時間というのは決して戻らないのだから実際にTSしてその郷愁を台無しにしてはいけないのだ。
幼女+TSで未知の体験を読者に与える稀有な一作。

ちょっとだけ身近な異体験をしてみたい方へ


タイトルで「マジか」となります。そして読み進め、ごつい男主人公がプログラム上の演出とはいえ、幼女のロールプレイを始めた時、再び「マジか」となります。

しかし! もう少しだけ踏ん張って読み進めてください。登場人物たちが(おそらくは)社会的立場やしがらみから解き放たれて、ただ一心にコミュニケーションをとりあう姿に(子供の遊びで。幼女の格好で、幼女のしぐさで!)なぜかほのぼのとさせられ「マジか」となるのです。
この妙に落ち着きのなくなる名文章かつ迷文章の数々、ぜひ堪能していただきたい。
色々書きましたが、とても面白い、とても変な小説なので、是非皆さんにも楽しんでいただきたいのです。

ところで。
登場人物は精神安定のためにこの幼女ごっこを楽しんでいるのですが、読者たる私たちは精神をもぞもぞ不安定にさせるために幼女ごっこを楽しんでいる。こんなアンビバレンツな楽しみ方もありかもしれません。
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